くりはらさん
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志波姫
マイスター紹介
直径40cm、高さ60cm。バームクーヘンのおばけみたいな大きな大きな円筒形は、あのひらひらごわごわした干し昆布に20トンのプレス機で圧力をかけてロール状にしたもの。隙間なく、平均に詰める手法にも技ありです。120kgもあるロールが高速回転をはじめると、高橋さんはその振動に耐えながら刃を当てます。すると、削られた昆布がしゅるしゅるーっと宙に舞い、ふわーっとバットの中へと着地するのです。この昔ながらの手削りは、機械で削ったものの倍ほどの厚み。科学的な調味料や保存料はもちろん、酢さえも使わない、正真正銘のとろろ昆布です。旨みがダイレクトに楽しめ、しゃきしゃきとした歯切れの良さも他にはない個性。「この、削り刃にカエシがついているのが特徴です。秋田刃物の独特の技術らしく、関西ではこのカエシ自体を“アキタ”と呼ぶそうですよ。北前船の周航によって運ばれた昆布ですから、その技術もまた、北前船によって広まったのでしょう」。使い終わるたびに手入れし、調整を欠かさないという削り刃。よい職人はよい道具に支えられる、という言葉を体現しています。
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